初めに
光、電波、X線——これらは全て電磁波の仲間です。 電磁波は電場(E)と磁場(B)が互いに直交しながら空間を伝わる波です。
マクスウェル方程式によれば、電場の空間的な変化が磁場の時間変化を生み、 磁場の空間的な変化が電場の時間変化を生みます。 この連鎖が繰り返されることで、電磁波は真空中でも伝播できます。
電磁波のエネルギーの流れる方向はポインティングベクトル $ \vec{S} = \frac{1}{\mu_0} \vec{E} \times \vec{B} $ で表されます。このシミュレーションで、E・B・Sの空間的な関係を3Dで観察してみましょう。
シミュレーション
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あとがき
電磁波の振る舞いは、マクスウェル方程式から導かれます。 真空中のマクスウェル方程式のうち、電磁波の生成に関わる2つの法則を紹介します。
ファラデーの法則(電場の空間変化が磁場の時間変化を生む):
\[ \nabla \times \vec{E} = -\frac{\partial \vec{B}}{\partial t} \]アンペール-マクスウェルの法則(磁場の空間変化が電場の時間変化を生む):
\[ \nabla \times \vec{B} = \mu_0 \varepsilon_0 \frac{\partial \vec{E}}{\partial t} \]この2つの式から、電場 $\vec{E}$ と磁場 $\vec{B}$ がそれぞれ波動方程式を満たすことが示されます:
\[ \frac{\partial^2 \vec{E}}{\partial x^2} = \mu_0 \varepsilon_0 \frac{\partial^2 \vec{E}}{\partial t^2} \]波の伝播速度は $c = 1/\sqrt{\mu_0 \varepsilon_0}$ であり、これは光速に一致します。 平面波解は次の形で表されます:
\[ \vec{E}(x,t) = E_0 \sin(kx - \omega t) \, \hat{y} \] \[ \vec{B}(x,t) = B_0 \sin(kx - \omega t) \, \hat{z} \]ここで $k = 2\pi/\lambda$(波数)、$\omega = 2\pi f$(角振動数)、$B_0 = E_0/c$ です。 EとBは互いに直交し、かつ波の進行方向(x軸)にも直交しています。
ポインティングベクトルは電磁場のエネルギーフラックス(単位時間・単位面積あたりのエネルギー流量)を表します:
\[ \vec{S} = \frac{1}{\mu_0} \vec{E} \times \vec{B} = \frac{E_0 B_0}{\mu_0} \sin^2(kx - \omega t) \, \hat{x} \]$\vec{S}$ は常に +x 方向を向き、その大きさは $\sin^2(kx - \omega t)$ に比例して時間的・空間的に変動します。 時間平均をとると $\langle S \rangle = E_0 B_0 / (2\mu_0)$ となり、これが電磁波の強度(放射照度)に相当します。
電場と磁場の因果関係
電磁波の伝播を支えているのは、マクスウェル方程式に含まれる2つの法則の連鎖です。 +x方向に伝播する平面波(1次元)の場合、これらは次のように簡略化されます:
ファラデーの法則(電場の空間変化が磁場の時間変化を駆動):
\[ \frac{\partial E}{\partial x} = -\frac{\partial B}{\partial t} \]アンペール-マクスウェルの法則(磁場の空間変化が電場の時間変化を駆動):
\[ \frac{\partial B}{\partial x} = -\mu_0 \varepsilon_0 \frac{\partial E}{\partial t} \]つまり、ある点で電場が空間的に変化していれば、それが磁場の時間変化を引き起こし、 その磁場の空間変化が隣の点で電場の時間変化を引き起こす——この連鎖反応が途切れることなく続くことで、 電磁波は媒質がなくても自律的に伝播できるのです。
まとめ:電磁波では電場Eと磁場Bが互いに直交しながら空間を伝播します。 ポインティングベクトル $\vec{S} = \frac{1}{\mu_0}\vec{E} \times \vec{B}$ がエネルギーの流れる方向を示し、 それは必ず波の進行方向と一致します。